今回は、上顎臼歯部の遠心移動についてお話したいと思います。

上顎臼歯の遠心移動装置にはいろいろな装置が存在します。
いくつか例をあげていきます。

1) Head gear           
          一番古い上顎臼歯遠心移動装置になると思います。
     上顎大臼歯に金属のバンドを装着し、夜間Face bowと呼ばれる装置をBandに装着し使用します。
     夜間のみの使用なので遠心移動するのに時間がかかる傾向があります。

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2) ペンデュラム
     主に上顎第1大臼歯が近心傾斜している状態にきわめて有効です。
     上顎全体に装置がつくので歯磨きのしにくさと違和感は多少あります。

     *上顎第1大臼歯が近心傾斜というのはその歯の前にある第2乳臼歯と呼ばれる子供の歯が
      むし歯などの理由で小さくなってしまい大臼歯萌出時に前に倒れて生えていることです。

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3) GMD
     大臼歯を遠心移動させる顎内装置の中で一番の移動量が望めます。
     装置が比較的大きいことと一歯ずつしか遠心移動が行えないことが欠点です。

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4) Carriel Motion(カリエール・モーション)
     比較的容易に遠心移動が行える装置です。
     上下に装置を装着して食事と歯磨き以外は顎間ゴムをつけてもらいます。
     ゴムの装着がしっかりできれば最短で遠心移動を行うことができる装置です。
     当院では、ほとんどの上顎臼歯部の遠心移動にはCarriel Motionを使っています。
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5ヵ月でこんなに動きます

これはすごいことなんです
ヘッドギアを使うと、これだけの量を奥歯を後ろに下げるとなると年単位になります。
カリエールモーションは、それを数か月で行うことができます。
まさに治療期間の短縮につながります
今後カリエールモーションを使った症例をお見せしていくつもりです。
ぜひチェックしてみて下さい。