「矯正したいけど、痛みが気になる…」

「インビザラインなら、矯正中の痛みは少ない?」

矯正治療を受けることをご検討するも、矯正中の痛みが気になる方は少なくありません。「痛いのはイヤ」という理由で矯正をあきらめてしまうことも。

矯正は装置で力をかけるため、歯や歯槽骨(歯を支える顎の骨)に痛みを感じる場合があります。ただし、マウスピースを用いるインビザラインであれば、矯正中の痛みは比較的少ないです。

今回は「矯正治療は痛い?対処方法は?」についてお話しします。

■矯正治療で感じる痛み


◎装置で力をかけるため、痛みを感じることがあります


矯正方法を問わず、歯科矯正では矯正装置で力をかけて歯を動かします。これは、ワイヤー矯正、マウスピース矯正どちらも同じです。

装置で力をかけるため、矯正中には痛みを感じることがあります。矯正で痛みを感じるのは、以下のメカニズムによるものです。

{歯槽骨の吸収にともない、炎症物質が分泌される}

矯正治療ではワイヤーやマウスピースを使って力をかけ、少しずつ歯を動かして歯並びを整えていきます。このとき、力をかけた方向の歯槽骨が圧迫され、歯根膜内の血管から破骨細胞が分泌されます。

分泌された破骨細胞は歯槽骨を溶かし、溶かした分だけスペースが生まれて歯が動きます。破骨細胞が分泌されるときには歯根膜内の血管から破骨を促進する「プロスタグランジンE2」という炎症物質もいっしょに分泌されるため、炎症物質の作用によって歯槽骨の中で炎症が起き、痛みを感じます。これが、矯正治療で痛みを感じる理由です。

■矯正中に感じる痛みの対処方法は?


矯正中の痛みが気になる・つらい場合は、以下を行うことで痛みを軽減できる可能性があります。

①マウスピース矯正「インビザライン」で治療を行う


インビザラインとは、マウスピースを使って歯並びを整える矯正方法です。使用するマウスピースは薄いポリウレタン製でやわらかく、ワイヤー矯正と比べて歯にかける力がマイルドになります。

矯正力がマイルドなため、装置で強く歯を締めるワイヤー矯正と比べ、インビザラインの矯正中に感じる痛みは少なめです。矯正中の痛みが気になる場合はインビザラインで治療を行うことで痛みを軽減しやすくなります(※)。

(※)インビザラインの矯正中に感じる痛みは個人差があります。

インビザラインでまったく痛みを感じない訳ではありません。



②ワイヤー矯正中、痛みを強く感じる場合は痛み止めを飲む(抗炎症作用が少ない物に限る)


ワイヤー矯正は金属製のワイヤーで強く歯を締めるため、最初に装置を装着するときや調整時に痛みを感じることがあります。

ワイヤー矯正中に感じる痛みは、装置の装着・調整後の2~3日がピークです。2~3日を過ぎた後はじょじょに痛みや違和感が減っていき、長くても1週間程度経てば気にならなくなることが多いです。

もし、ワイヤー矯正中にガマンできないほどの痛みを強く感じる場合は痛み止めを飲んでもかまいません。ただし、服用する痛み止めはカロナールなどの抗炎症作用が少ない物にしてください。抗炎症作用があるロキソニンやイブプロフェン、ボルタレンなどの痛み止めは破骨細胞の分化を阻害し、歯の動きをさまたげてしまう可能性があります。

なお、ワイヤー矯正と比べて矯正力がマイルドなインビザラインでガマンできないほどの痛みを感じるケースはあまりありません。もし、インビザライン矯正中にガマンできないほどの痛みを感じる場合はワイヤー矯正と同様に抗炎症作用が少ない痛み止めを飲むことで症状の緩和につながります。

③矯正中に痛みが強いときはやわらかい物が中心の食生活にする


ワイヤー矯正中に痛みが強いときは、うどんやおかゆなど、あまり噛まなくても済むやわらかい物が中心の食生活にすることで噛んだときの痛みを軽減できます。

ただし、たくさんの砂糖が含まれるプリンやアイスクリーム、糖分を含む清涼飲料水、果物ジュースなどは装置と歯のあいだに糖分が残ってむし歯や歯周病が進行しやすくなるため、できるだけ摂取は控えてください。

マウスピース矯正のインビザラインであれば、矯正中にマウスピースを外していつもどおりの食事を楽しめます。インビザラインはワイヤー矯正のような飲食物の制限がほとんどない点がメリットの一つです(むし歯や歯周病の進行を防ぐため、砂糖を含む物はできるだけ控えるのが望ましいです)(※)。

(※)硬い物を噛まない、着色性がある物の摂取はできるだけ控えるなど、

インビザライン矯正には矯正中の飲食物の制限があります。



【矯正で痛みを感じるのはしっかり歯が動いている証拠】


矯正で痛みを感じるのはしっかり歯が動いている証拠です。痛みを感じるからこそ歯が動き、少しずつ歯並びが整っていきます。

痛みや違和感、いつもと違う食事や歯みがき(ワイヤー矯正の場合)、マウスピースのつけ外し(インビザラインの場合)など、矯正中には少なからずストレスを感じるかと思います。ただし、痛みや違和感は永遠に続くものではありません。矯正が終わり、理想の歯並びを手に入れることでストレスから解放されます。

治療が進むにつれ、矯正中の痛みや違和感は慣れてくることが多いです。矯正装置の装着を「毎日のルーティーン」と思えるようになれば、さほど違和感を感じずに矯正を進められます。

矯正中にストレスを感じたとき・つらいときは、ご遠慮せずにいつでも歯科医師までご相談ください。少しでもストレスを減らせるよう、患者様に寄り添い、全力でサポートをさせていただきます。
後藤達也矯正歯科

歯科医師


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