透明なマウスピースで目立ちにくい、矯正中の痛みが少ないなど、メリットが多いマウスピース矯正「インビザライン」。世界シェアトップのインビザラインをはじめとして、日本を含めた世界中で多くの方がさまざまなブランドのマウスピース矯正を受けています。

豊富なメリットがあるマウスピース矯正。しかし、マウスピース矯正にはマウスピースを用いることによるデメリットも。

マウスピース矯正(インビザラインを含む)を始める前には、メリットだけではなくデメリットも理解した上で、治療を受けることが大切です。

今回は、「マウスピース矯正のデメリット・起こり得るトラブル」についてご説明します。

■マウスピース矯正のデメリット・起こり得るトラブル


1.重度の歯並びの乱れには対応しにくい場合がある


マウスピース矯正はマウスピースを歯に装着し、少しずつ歯を動かして歯並びを整えていきます。やわらかいマウスピースを用いるため、マウスピース矯正は歯を動かす力(矯正力)がマイルドです。

矯正力がマイルドなため、マウスピース矯正は歯を傾けて動かす「傾斜移動」を中心に歯並びを整えます。原則として、マウスピース矯正は歯根ごと歯を大きく平行移動させる「歯体移動(したいいどう)」は行えません(※)。

(※)独自技術のアタッチメントを用いること

で、インビザラインは歯体移動を行えます。


上記の理由から、マウスピース矯正では、抜歯本数が多い(4本以上)抜歯矯正など、全体の歯を大きく動かす必要がある重度の歯並びの乱れには対応しにくい場合があります。

≪対策①:ワイヤー矯正で治療を進める≫

重度の歯並びの乱れでマウスピース矯正で対応しにくい場合は、歯を動かす力が強いワイヤー矯正で治療を進めるケースがあります。

ワイヤー矯正は金属製のワイヤーでギュッと歯を締めるため、歯を動かす力が強いです。矯正力が強いワイヤー矯正は歯根ごと歯を大きく平行移動させる歯体移動を行えます。もちろん、傾斜移動も可能です。

歯体移動を行えるワイヤー矯正であれば、抜歯をして全体の歯を大きく動かす必要がある重度の歯並びの乱れに対応できます。

≪対策②:インビザラインのアタッチメント、または、各種の補助処置を用いて治療を進める≫

マウスピース矯正は歯を動かす力がマイルドなため、重度の歯並びの乱れには効率的に治療を行えない場合も。

重度の歯並びの乱れには対応しにくい場合もあるマウスピース矯正ですが、インビザラインは異なります。インビザラインは独自技術であるアタッチメントを用いることで歯を動かす力を高められるため、重度の歯並びの乱れに対応できる可能性があります。

インビザラインのアタッチメントのほか、各種の補助処置も歯を動かす力を高めるのに有効です。必要に応じ、アンカースクリューなどの補助処置を用いることで効率的に歯を動かせるようになり、マウスピース矯正で重度の歯並びの乱れに対応できる可能性を高められます。

2.マウスピースの装着時間・装着する順番を守らなかった場合、十分に歯が動かない可能性がある


歯を動かし、歯並びを整えるために、マウスピース矯正では定められたマウスピースの装着時間を守らなければなりません。各メーカーによって差はありますが、多くの矯正ブランドが1日につき18~22時間以上のマウスピースの装着を定めています。

1日の装着時間に加え、治療計画どおりに歯を動かすためにはマウスピースを装着する順番を守る必要があります。

定められたマウスピースの装着時間・順番を守らなかった場合、十分に歯が動かない可能性があります。ケースによっては矯正効果が半減してしまうことも。

≪対策:定められたマウスピースの装着時間・装着する順番をきちんと守る≫

治療計画どおりに歯を動かすためには、定められたマウスピースの装着時間・装着する順番をきちんと守ることが大切です。

マウスピースの順番がわからなくなってしまいそうなときは、マウスピースが入った箱やパッケージに大きく数字を書いておくことで順番間違いが起きるミスを減らしやすくなります。

3.飲食の際、マウスピースを外す必要がある(水を除く)


マウスピース矯正では、飲食の際にマウスピースを外す必要があります(水を除く)。

飲食時にマウスピースを外さなかった場合、糖分を含む液体や食べカスがマウスピースと歯のあいだに挟まってむし歯の発症・進行が起きる可能性が高まります。食べカスが挟まることで歯とマウスピースの密着性が落ち、しっかり歯が動かなくなるおそれもあります。

≪対策:飲食時には必ずマウスピースを外す≫

水を除き、マウスピース矯正中の飲食時には必ずマウスピースを外しましょう。

飲食のためにマウスピースを外したときは食後に歯みがきを行い、マウスピースを洗ってから再装着します。

4.奥歯が沈み込むことがある


マウスピースを歯にかぶせる、という性質上、マウスピース矯正ではマウスピースの厚みによって奥歯が沈み込む(=圧下:あっか)ことがあります。

奥歯の沈み込みはマウスピース矯正のデメリットの一つです。ただし、奥歯を圧下させる必要がある開咬などの歯並びの乱れの治療においては、マウスピースの「奥歯が沈み込む」特性を利用し、効率的に矯正を進められるケースも。

≪対策:顎間ゴムを用いる、アタッチメントを用いる(インビザライン)、マウスピースを切り取る≫

マウスピース矯正で奥歯が沈み込んだときは、主に以下のような方法で舌側に歯をひっぱり出します。

・上下の歯にボタンを取り付け、ボタンのあいだにゴムをかける「顎間ゴム」を用いる
・挺出用アタッチメントを用いる(インビザラインの場合)

奥歯の沈み込みが予測される場合は、あらかじめマウスピースの奥歯の箇所を切り取っておくことで歯にかかる圧力が減り、奥歯の沈み込みを防ぎやすくなります。

【矯正治療に関するご質問・ご不安がある方はお気軽にご相談ください】


矯正治療を受けるにあたり、デメリットや起こり得るトラブル、矯正中の痛み、矯正期間など、ご心配な点も多いかと思います。

後藤達也矯正歯科では矯正治療の相談を受け付けています。相談費は無料です。

矯正治療に関するご質問・ご不安がある方はお気軽にご相談ください。Zoomによるオンライン矯正相談も承っております。

カウンセリングでは患者様のお悩み・ご希望をじっくりとお伺いし、日本矯正歯科学会の矯正認定医がお1人お1人の方に適した矯正方法をご提案させていただきます。
後藤達也矯正歯科

歯科医師


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