「矯正?子どもがするものでしょ?」 「子どもと大人では、矯正内容は何が違うの?」
矯正、と聞くと、世間では「子どもがする歯科治療」とイメージされる方が時折、いらっしゃいます。
また、大人の矯正の存在は知っていても、「子どもと大人の矯正の違いがよくわからない」という方も少なくありません。
子どもの矯正と大人の矯正には、大きな違いがあります。大きな違いがあると共に、年齢(12歳前後以上~未成年の子ども)によっては、子どもの矯正と大人の矯正に共通点も。
今回は、「子どもの矯正と大人の矯正の違い」についてご説明します。
目次
■子どもの矯正と大人の矯正の違い
◎「顎の骨の成長をうながす」のが小さな子どもの矯正の主な目的
子どもの矯正と大人の矯正の最大の違いは、「顎の骨の成長を利用するか、しないか」です。
3~9歳頃の小さな子どもを対象にした小児矯正(0期・1期)では、以下のような治療を進めていきます。
[小児矯正(0期・1期)(咬合誘導)で行うこと]
・口腔筋機能訓練(マイオブレース、プレオルソなど)
・咬合誘導装置(ムーシールド、マイオブレース、プレオルソなど)
・床矯正(拡大装置など)
・咬合誘導+動的治療(※)(インビザラインファーストなど)
(※)動的治療・・・ワイヤー装置やマウスピース
を用い、力をかけて歯を動かす通常の矯正治療。
上記のような、子どもの顎の骨の成長をうながす矯正治療を「咬合誘導(こうごうゆうどう)」と呼びます。原則として、3~9歳頃の子どもに行う小児矯正の0期・1期治療は、咬合誘導がメインです。
{歯並びの乱れが大きい場合は、小さな子どもに動的治療を行う場合も}
動的治療とは、ワイヤー装置やマウスピースを用い、力をかけて歯を動かす通常の矯正治療を指します。「矯正治療」と言うと、一般的にはこの動的治療を指すことが多いです。
通常、3~9歳頃までの小さな子どもには動的治療は行いません。顎の骨が未成熟でやわらかい小さな子どもの時期には、前述の咬合誘導による小児矯正がメインになります。
小さな子どもの矯正は咬合誘導がメインです。ただし、以下に当てはまるときは、小さな子どもでも通常の矯正治療(動的治療)を行う場合があります。
[3~9歳頃の子どもに対し、通常の矯正治療が必要になることがあるケース]
・歯並びの乱れが大きい ・歯並びの乱れにより、食事や発音に大きな支障がでている
◎12歳前後以上~未成年の子どもの矯正は大人の矯正と同じ
顎の骨の成長を利用する小児矯正、咬合誘導。咬合誘導は、3~9歳頃までの、顎の骨が未成熟でやわらかい小さな子どもの時期限定の矯正治療です。
個人差はありますが、10歳頃になると顎の骨格が固まり始めます。顎の骨格が固まり始めると、顎の骨の成長を利用する矯正治療である咬合誘導を行うのは難しいです。
上記の理由により、12歳前後以上~未成年の子どもには、小児矯正の2期治療を行います。
小児矯正の2期治療は大人の矯正と同じです。ワイヤー装置やマウスピースを用い、力をかけて歯を動かすことで歯並びを整えていきます。
◎大人の矯正では装置で力をかけ、歯を動かして歯並びを整えていきます
成人の方に行う大人の矯正(成人矯正)では、装置で力をかける通常の矯正治療を行います。
ワイヤー装置やマウスピースを用いて力をかけることで歯を動かし、歯並びを整えていくのが大人の矯正の特徴です。
■小さな子どもの時期に小児矯正(咬合誘導)を受けることのメリット
◎歯並びを乱れさせる原因の根本的改善にアプローチします
歯並びの乱れの多くは、子どもの時期に行う、以下のような悪い癖・習慣が原因と考えられています。
[歯並びの乱れの原因になる悪い癖・習慣]
・口呼吸 ・舌癖(ぜつへき)(前歯の裏側を舌で押す、上下の前歯のあいだに舌を出すなどの悪い癖)
・誤った飲み方(頬の力で押し込むように飲む、顎をしゃくって飲むなど)
・誤った食べ方(前歯でしか噛まない、奥歯でしか噛まない、片側の歯でしか噛まないなど)
・頬杖
・うつぶせ寝
上記のような悪い癖・習慣があると、矯正治療(=動的治療:力をかけて歯を動かす通常の矯正治療)で歯並びを整えても、癖・習慣によって歯の位置が元に戻ってしまいやすいです。歯並びが元の位置に戻ってしまうことを「後戻り」と呼びます。
3~9歳頃までに行う小児矯正(咬合誘導)(0期・1期)では、歯並びを乱れさせる原因の根本的改善にアプローチします。
装置で力をかけて歯を動かす通常の矯正治療ではなく、以下を通じて、顎の骨の成長をうながすのが咬合誘導の主な目的です。
≪小さな子どもに行う小児矯正(咬合誘導)(0期・1期)の内容≫
・お口の筋肉トレーニング
・トレーナー(マウスピース)の装着(日中1~2時間程度+就寝中のみの装着)
・拡大装置の装着
咬合誘導で顎の骨の成長をうながし、顎の骨格が適切に広がると、お口の中にスペースができます。スペースができることで、生え変わりの際に永久歯がまっすぐ生えやすくなり、将来の綺麗な歯並びにつなげやすくなります。顎の骨格が育つことで、バランスの取れたお顔立ちになる効果も期待できます。
{顎が小さすぎるお子さまは要注意}
最近は、小顔のお子さまが増えましたね。しかし、小顔でも、顎が小さすぎる顔立ちは、問題も。顎が小さすぎると、お口の中にスペースが足りず、歯並びが乱れやすくなります。また、顎が小さすぎるお子さまは顎周りの筋肉が十分に発達しておらず、口呼吸をしているケースが多いです。
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顎の骨格が適切に広がると、お口の中にスペースが生まれ、歯を押し戻す力が弱まります。歯を押し戻す力の弱まりにより、矯正後の歯並びの後戻りが起きにくくなる点も、咬合誘導ならではのメリットの一つです。
顎の骨の成長をうながすことに加え、小さな子どもの時期に行う咬合誘導には以下の目的もあります。
[咬合誘導の目的]
1.顎の健全な成長をうながす
2.歯並びを乱れさせる悪い癖・習慣の改善
3.正しいお口の使い方を身につける
4.舌位置の正常化(舌先が上の前歯の歯ぐきの裏側(スポット)に軽くふれる状態を目指す)
≪正しいお口の使い方≫
①食事と会話以外のときはお口を閉じ、鼻呼吸する
②のどの筋肉だけを使って飲む
③全体の歯を使ってしっかり噛む
悪い癖・習慣が改善され、正しいお口の使い方が身につくと歯並びが乱れにくくなると共に、矯正後の後戻りを防ぎやすくなります。
悪い癖・習慣の改善、正しいお口の使い方の習得により、一生を通じて、お口の健康を保てるようにするのが小児矯正(咬合誘導)(0期・1期)の特長です。
【顎の骨の状態が良ければ、いくつになっても矯正を行えます】
3~9歳頃までの小さな子どもの時期に行う咬合誘導には、小児矯正ならではのメリットがあります。
・口呼吸や舌癖など、悪い癖が見られる
・歯並びが乱れている
・顎の骨格が小さい&歯並びが乱れている
お子さまが上記に当てはまる場合は、できるだけ早めに、小児矯正を行っている歯科医院で受診することをオススメします。
なお、矯正治療には年齢制限がありません。顎の骨の状態が良ければ、いくつになっても矯正によって歯並びの改善にアプローチすることが可能です。
どうか、年齢を気にして、「年だから、矯正は無理かも」とあきらめないでください。40歳以上の中高年の方でも、矯正治療で理想の歯並びを目指せます。
– 矯正治療に関するご質問・ご不安がある方はお気軽にご相談ください –
矯正治療を受けるにあたり、矯正中の痛み、目立ちやすさ、矯正期間など、ご心配な点も多いかと思います。
後藤達也矯正歯科では矯正治療の相談を受け付けています。相談費は無料です。
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カウンセリングでは、患者様のお悩み・ご希望をじっくりとお伺いします。お話をお伺いした上で、日本矯正歯科学会の矯正認定医がお1人お1人の方に適した矯正方法をご提案させていただきます。