そこで今回は、「矯正治療で歯が動くメカニズム」をお伝えします。矯正をご検討中の方に参考になる内容となっていますので、前回の「マウスピース矯正で歯はどのように動く?」と併せてぜひ、お読みいただければ幸いです。
◎歯根膜の働きによる骨の代謝で歯が動きます
矯正治療は歯根膜の働きを利用し、歯槽骨の吸収と造骨をくりかえして歯を動かします。
{歯根膜とは}
歯根膜とは、歯の根っこを覆う膜状の組織です。歯根表面のセメント質と歯槽骨(歯を支えている顎の骨)のあいだにあり、歯を歯槽骨につなぎ留めています。
{歯槽骨とは}
歯槽骨とは、歯を支えている顎の骨です。歯槽骨の窪みに1本1本歯が植わり、歯を支えています。
[矯正治療で歯が動くメカニズム]
①矯正装置で歯に力をかける。
②力をかけた方向の歯根膜がぎゅっと縮み、骨を溶かす破骨細胞が分泌され、骨が溶けてスペースができる。スペースの分だけ、歯が動く。
③力をかけた方向と反対側の歯根膜が伸び、骨を作る造骨細胞が分泌され、新たに歯槽骨が作られ空いたスペースを埋める。
④歯槽骨が溶かされる&新しい歯槽骨が作られる、をくりかえすことで少しずつ歯が動き、理想の歯並びに近づいていく。
①矯正装置で歯に力をかける。
ワイヤー装置やマウスピースなどの矯正装置を装着し、歯に力をかけます。
②力をかけた方向の歯根膜がぎゅっと縮み、骨を溶かす破骨細胞が分泌され、骨が溶けてスペースができる。スペースの分だけ、歯が動く。
歯に力がかかると力をかけた方向の歯根膜が圧迫されてぎゅっと縮みます。圧迫された歯根膜は「苦しい、この状態を解決しなければ」として、歯根膜内の血管から骨を溶かす破骨細胞を分泌します。分泌された破骨細胞により力をかけた方向の歯槽骨が溶けて(骨が吸収して)スペースが生まれ、空いたスペースの分だけ歯が動きます。
③力をかけた方向と反対側の歯根膜が伸び、骨を作る造骨細胞が分泌され、新たに歯槽骨が作られ空いたスペースを埋める。
力をかけた方向と反対側の歯根膜は伸びます。伸びた歯根膜は「あれ?歯が動いてスペースができちゃった。このスペースを埋めなければ」として、歯根膜内の血管から骨を作る造骨細胞を分泌します。分泌された造骨細胞により力をかけた方向と反対側の部分に新しい歯槽骨が作られ、空いたスペースを埋めます。
④歯槽骨が溶かされる&新しい歯槽骨が作られる、をくりかえすことで少しずつ歯が動き、理想の歯並びに近づいていく。
破骨細胞により歯槽骨が溶かされ空いたスペース分だけ歯が動く、造骨細胞により新たに作られた歯槽骨が反対側のスペースを埋める、をくりかえすことで少しずつ歯が動き、理想の歯並びに近づいていきます。
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上記が、矯正治療で歯が動くメカニズムです。
【矯正治療に関するご不安やご質問はお気軽にご相談ください】
歯科矯正は「歯槽骨の吸収と造骨」を利用して歯を動かします。この原理はどのような矯正治療でも同じです。歯が動く原理を理解しておくことで、なぜ装置をつける必要があるのか、なぜマウスピースの装着をさぼってはいけないのか、などの「矯正のルール」を理解しやすくなります。
後藤達也矯正歯科では矯正治療に関するご不安やご質問を受け付けています。相談費は無料です。カウンセリングのご予約はお電話/WEBにてうけたまわっております。お気軽にご相談ください。