矯正治療では装置で力をかけ、少しずつ歯を動かして歯並びを整えていきます。治療計画どおりにスムーズに歯を動かすためには、注意点を守りながら矯正中の生活を過ごすことが大切です。

今回は矯正中に守るべき注意点についてご説明します。

■矯正中の注意点とは?


◎矯正中はさまざまな守るべき注意点があります


矯正中は以下のような、さまざまな守るべき注意点があります。

1.食事の注意点
2.歯みがきの注意点
3.装置の装着の注意点
4.生活における注意点


■1.食事の注意点


◎インビザライン矯正中の食事の注意点


・硬い物を噛まない
(氷、飴玉、硬いフランスパン、硬いおせんべいなど)

インビザライン(マウスピース矯正)、ワイヤー矯正など矯正方法を問わず、矯正中は硬い物を噛むのはNGです。硬い物を噛むと歯槽骨の代謝が阻害され、歯の動きがさまたげられることがあります。

硬い物以外であれば、インビザラインは矯正中にマウスピースを外していつもどおりの食事を楽しめます。食べたい物や好きな物をガマンする必要はありません(※)。

(※)むし歯・歯周病予防の観点から、砂糖を多く含む物は控えた方が良いです。


見た目の問題から、着色性の飲食物もできるだけ控えるのが望ましいです。

◎ワイヤー矯正中の食事の注意点


ワイヤー矯正は固定式の装置をつけるため、矯正中の食事にさまざまな制限がかかります。

<NGな食べ物>

・硬い物
(氷、飴玉、硬いフランスパン、硬いおせんべいなど)

・前歯でかじり取る物
(小さくカットしていない肉、大きな果物、とうもろこしなど)

・歯や装置につきやすい物
(ガム、キャラメル、ハイチュウ、水あめ、餅など)

矯正中に硬い物を噛んでしまうと歯の動きがさまたげられる可能性があるほか、上記の食べ物を噛むと装置が外れたり破損する場合があります。

<気をつける必要がある食べ物(歯と装置のあいだに挟まりやすい物)>

・繊維質の物
(えのき、ひじき、もやし、ほうれん草など葉物野菜のおひたし、鶏肉など)

・粒が細かい物
(ひき肉料理、ナッツ類、粒胡椒やトウガラシなどのスパイスなど)

上記の食べ物は歯と装置のあいだに挟まりやすいです。歯と装置のあいだに食べカスが挟まった状態を放置すると装置がずれることがあり、本来の矯正効果を得られなくなるおそれがあります。

■2.歯みがきの注意点


◎インビザライン矯正中の歯みがきの注意点


・正しい方法(※)でいつもどおりの歯みがきを行う

インビザラインはマウスピースを取り外せるため、矯正中はマウスピースを外してしっかり歯を磨けます。ワイヤー矯正のように装置に対応したブラッシングを行う必要はありません。

(※)軽い力で歯を磨く、前歯の裏側は歯ブラシを縦にして磨く、フロスや歯間ブラシを

使って歯間清掃を行うなど、正しい方法でのセルフケアが大切です。


◎ワイヤー矯正中の歯みがきの注意点


・歯ブラシはヘッドが小さい物を使う
・軽い力で磨く
・歯とブラケット装置に対して45度の角度で毛先を当てて磨く
・歯と歯のあいだは歯ブラシを縦にして磨く
・装置の形に合わせてワンタフトブラシやフロス、歯間ブラシを併用する
・鏡やスマホで確認しながら磨く

ワイヤー矯正は装置が固定式のため、矯正中は装置に対応したブラッシングが必要になります。

■3.装置の装着の注意点


◎インビザライン矯正中の装置の装着の注意点


・1日20時間以上、マウスピースを装着する ・マウスピースのつけ忘れに気をつける

インビザラインは1日20時間以上、マウスピースの装着が必要です。定められたマウスピースの装着時間を守らなかった場合は治療計画どおりに歯が動かず、十分な矯正効果を得られない可能性があります。

また、インビザライン矯正中は水を除いて飲食の度にマウスピースを外さなければなりません。飲食後には歯みがきをしてマウスピースを洗ってから再装着することも必須です。飲食は毎日行われるため、うっかりマウスピースをつけ忘れないように注意が必要です。

◎ワイヤー矯正中の装置の装着の注意点


・舌で押すなど、不要な負荷を装置に与えないようにする

ワイヤー矯正は装置が固定式のため、インビザラインのような装置のつけ忘れの心配はありません。

つけ忘れの心配がないワイヤー矯正ですが、装置がずれたり外れるのを防ぐため、装置を舌で押すなどの行為は控える必要があります。

■4.生活における注意点


◎インビザライン矯正中の生活における注意点


・通院をさぼらない
・マウスピースは毎日流水で洗ってお手入れする
・定められた方法で正しくマウスピースを装着する
・決められた順番にしたがい、マウスピースを交換して装着する

インビザラインでは2~3ヶ月に1回の通院の際にまとめてマウスピースをお渡しします。

通院時には歯の動き具合いや歯並び、お口の健康状態をチェックします(歯の汚れが目立つときは歯のクリーニングを行う場合があります)。矯正を成功に導くためには、さぼらずにしっかり通院することが重要です。

口腔内の衛生状態を保つため、インビザライン矯正中は毎日、マウスピースを流水で洗ってお手入れする必要があります。

治療計画に沿って矯正を進めるため、決められた順番にしたがってマウスピースを交換し、正しい方法で装着することも大切です。

◎ワイヤー矯正中の生活における注意点


・通院をさぼらない
・口に物がぶつからないように注意する
・口の中に痛みや違和感があるときは早めに担当の歯科医師に伝える

ワイヤー矯正では1ヶ月に1回の通院の際に装置を締め直して調整を行います。その時々の状態に合わせて歯を動かし、歯並びを整えるために調整は欠かせません。

通院時には歯の動き具合いや歯並び、お口の健康状態をチェックします(歯のクリーニングも行います)。矯正を成功に導くためには、さぼらずにしっかり通院することが重要です。

ワイヤー矯正中は口に物がぶつかると口の中を傷つけてしまう可能性があります。スポーツなどで激しい動きをするときは口をぶつけないように気をつけてください。

ワイヤー矯正中はブラケットの角やワイヤーの先端で口を傷つけてしまうことがあります。口の中に痛みや違和感があるときは早めに担当の歯科医師に伝えましょう。状態に応じ、ワイヤーを切って調整する、ワックスで装置をカバーするなどの処置を行います。

【理想の歯並びを手に入れるため、矯正中の注意点を守りましょう】


矯正中、特に気をつける必要があるのは通院です。治療期間が伸びたり矯正効果が得られなくなる可能性があるため、通院をさぼるのはいけません。注意点を守りながら定期的に通院することで治療期間の延長防止につながり、矯正を成功に導きやすくなります。

矯正中は守るべきことが多くストレスを感じてしまう場面もあるかと思いますが、理想の歯並びを手に入れるためにも、しっかりと注意点を守って矯正ライフを過ごしましょう。
後藤達也矯正歯科

歯科医師


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